※このコラムの最終更新日 2022年2月7日
今回のコラムは、病院ホームぺージの記載に制約がついた「医療広告ガイドライン」の更新について、概要とホームぺージ制作や更新時のチェックポイント、公的な相談窓口についてお知らせします。
医療広告ガイドラインの概要
2018年6月、医療法における病院等の広告規制について厚生労働省所管のガイドラインが更新され、病院ホームぺージの記載に制約がつきました。2022年2月現在、以下の医療広告ガイドラインが最新版となっています。
※厚生労働省:医療広告ガイドライン(PDFファイル)
医療広告ガイドラインにホームぺージが適用された経緯
元々、医療に関する広告(チラシや看板等)については昭和23年に公布された「医療法」において規定され制限を設けられていましたが、ホームぺージについては関係団体による自主的な取組み(ガイドライン)があったものの、規制は存在しませんでした。
その後、美容整形などの美容医療に関する相談件数が増えたこと受け、ホームぺージ上で誤解を招く広告表現を規制するため、医療広告ガイドラインが更新され、ホームぺージも他の広告媒体と同様に規制の対象とし、是正命令や罰則等の対象とすることになりました。
医療広告ガイドラインの対象になる媒体
- チラシ、パンフレット、その他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
- ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの
- 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの
- 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)
- 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの
元々のガイドラインが古くからあるため、古く感じる媒体が掲載されていますが、「広告」の要素を含む全ての媒体と認識してください。「広告」と銘打っていますが、費用が発生する広告出稿の時に守るべきガイドラインではなく、平時からホームぺージに記載している内容まで「広告」となりガイドラインの対象となります、費用を掛けて広告宣伝をしていないから大丈夫という話ではありません。
医療広告ガイドラインで気を付けるポイント
それでは、特にホームぺージに掲載する内容で、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。ホームぺージには広告可能表現と呼ばれる、「客観的な評価が可能」で「事後の検証が可能」な事項のみ記載することが可能です。
医療機関の広告禁止されている表現
- 虚偽広告
- 比較優良広告(他の病院との比較表現)
- 誇大広告
- 患者の主観に基づく、治療等の体験談
- 患者を誤認させる恐れのある広告
- 公序良俗に反する内容の広告
ありがちな禁止表現例
「最先端」「最適」
⇒「最先端」や「最適」といった表現は誇大広告に該当するため、「最先端の医療」や「最適な治療」などの表現は広告できません。
「〇〇センター」
⇒救急救命センター、総合周産期母子医療センター、休日夜間急患センターなど、一定の医療を担う医療機関である場合、又は該当診療について地域における中核的な機能、役割を担っていると都道府県が認める場合以外は広告を表示することはできません。
「術後術前の写真」
⇒写真を加工するなど、施術の効果が高いと誤認させる写真の掲載は虚偽にあたるため表示することはできません。ただし、治療結果の分析を行っている旨及び当該分析の結果を提供している目的であれば、広告をすることが可能です。
「キャンペーン・プレゼント」
⇒「○○円OFFキャンペーン実施中」等の費用を強調した広告や、「○○をプレゼント」など医療の内容とは直接関係していない事項により自院へ誘導する広告は、患者に誤認を与えるおそれがあるため広告できないとされています。
「日本一」「No.1」
⇒自らの病院が他の医療機関よりも優良である旨を記載することは認められていません。「日本一」「No.1」などの最上級の表現は、事実であったとしても、優秀性について著しく誤認を与えるおそれがあるため、比較優良広告として禁止されています。(ただし、著しく誤認を与える表現を除き、必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではありませんが、求められた際に内容に係る裏付けとなる根拠を示し客観的に実証できる必要がある、とされています。)
禁止表現でも条件によって記載が可能になる「限定解除」
禁止表現であっても、一定の条件を満たすことで「限定解除」が適用されホームぺージへの記載が可能になる場合があります。限定解除の条件は細かく設定されていますので、ホームぺージの制作や更新を行う場合は十分に注意する必要があります。
「限定解除」となるホームぺージの条件
- 患者等が自ら求めた情報を表示するウェブサイト等であること
- 問い合わせ先を記載・明示すること
- 自由診療に関する治療内容、費用等について情報提供していること
- 自由診療に関する主なリスク・副作用を記載すること
「限定解除」によって表現可能になる表現例
- 「〇〇外来」の表記
- 未承認医薬品・医療機器を用いた治療
- 医薬品・医療機器の販売名
- 治療効果(ビフォーアフター含む)
- 学会が認定する研修施設であること
- 「総合診療科」
- 「認定医」「指定医」「専門医」
- 「産業医」
- 手術件数
- 「審美治療」
- 適応外使用 ex.プラセンタを用いた美容治療
- 再生医療
※詳細は厚生労働省 医療広告ガイドラインQ&A参照(PDFファイル)
違反広告が見つかった際の対処方法
厚生労働省では、医業などに係るウェブサイトの監視体制強化事業として『医療機関ネットパトロール』を委託事業として行っています。一般からの情報提供も受け付けており、違反の疑いがあるホームぺージが見つかった場合、「評価委員会」から医療機関に対して通知が届きます。
万が一通知が届いた場合は、適切に修正を行えば問題ありません。
※通知から約1ヶ月後、委員会による改善状況確認が行われます。
未修正や修正内容が認められない場合は、委員会から自治体へ報告され、中止命令もしくは是正命令に従わなかった場合には、6ヶ月以下の懲役又は 30 万円以下の罰金といった行政処分の対応が取られる可能性があります。
抵触していないかどうかの確認方法
自院のホームページが医療広告ガイドラインに準じているか確認したい場合は、同じ地域内にある保健所までお問い合わせください。
厚生労働省Webサイト:全国の保健所一覧
まとめ
医療広告ガイドラインが更新されて以降、病院など多くの医療機関はガイドラインに準じたホームぺージの修正やリニューアルを行っています。今後も、いつ医療広告ガイドラインが更新されるか分かりませんので、漏れなく対応するために定期的にチェックを行うようにしましょう。
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