企業がオウンドメディアを持つことが当たり前になってきている昨今。オウンドメディアの運用開始を検討している企業の広報担当者の方も多いのではないでしょうか。
オウンドメディアには必ず運営する目的があり、それを理解してデザイン設計をするのとしないのでは、集客の見込みや結果が大きく変化します。
そこで本記事では、多数のオウンドメディアの制作・運営支援を行っているフリースタイルエンターテイメントの現役Webマーケターが、いくつかのデザイン事例を参考にしながら、オウンドメディアのデザイン制作で意識すべきポイントなどを解説していきます。
自社に合ったオウンドメディアのデザインを考える際に、ぜひ参考にしてみてください！
そもそもオウンドメディアとは？
オウンドメディアの定義
オウンドメディア（Owned Media）は「自社で保有するメディア」のことを指す言葉です。自社で保有している情報発信手段であるため、『「広告費をかけず」に、「発信したい情報」を、「ある程度自由な形式で」発信することができる』という特徴があります。
オウンドメディアの代表例
- ホームページ
- ブログ
- パンフレット
- カタログ
- 会報誌
ホームページやブログはインターネット上でのメディアですが、広義にはパンフレット・カタログ・会報誌などの紙媒体もオウンドメディアに含まれます。
インターネット上のオウンドメディアで発信した情報は、Webページとしてサイト内に蓄積されていくため、検索エンジンなどで上位を獲得することができれば継続的にユーザーと接点を持ち続けられるというメリットがあります。
ホームページやブログとの違い
ホームページやブログはオウンドメディアの代表例であるとご紹介しましたが、狭義には「オウンドメディア＝記事型コンテンツを継続的に発信するWebメディアサイト」という意味合いで使われることが多いです。
ホームページやブログ等は、企業が自らの情報を発信するメディアであるため、これらを見る人は既に企業のことを知っている場合が多いです。しかし、狭義のオウンドメディアは「ユーザーに有益な情報を発信する事を目的とした記事投稿メディア」であるため、企業のことを知らない人からのアクセスも集めることができます。
まとめると…
- ホームページ・ブログ＝自社の情報発信を通した顕在顧客へのアプローチが中心
- オウンドメディア＝ユーザーにとってニーズのある情報発信を通して潜在顧客へのアプローチが可能
という違いがあります。
オウンドメディアを運営する目的・メリット
オウンドメディアには、「認知獲得」・「売上増加」・「採用力強化」など、企業によって様々な運営目的があります。しかし、どんなオウンドメディアにも共通していることは、「ユーザーにとって価値あるコンテンツを発信し、信頼を獲得すること」が運用上の最終目標となることです。
オウンドメディアに追加したコンテンツは、サイト内に自社の資産として蓄積されていきます。戦略的なコンテンツ設計をすることで、潜在顧客の獲得や自社のブランドイメージ向上、信頼向上などあらゆる目的を間接的に達成することができます。
オウンドメディアには、顕在顧客から潜在顧客まで幅広いユーザー層に接触できるというメリットがあります。
デザインの役割と重要性
オウンドメディアを通じて達成したいことは企業によって様々ですが、最大限の効果を得るためには目的に即したデザイン設計をすることが非常に重要です。例えば、網羅性・専門性（情報をくまなく・わかりやすく掲載すること）を重要視する場合と、速報性（最新のトレンドをいち早くユーザーに届けること）を重要視する場合では、有効なデザインは異なります。
デザインそのものが、直接的な集客施策になるわけではありませんが、「このサイト、使いやすいな、居心地が良いな」とユーザーに感じてもらうことで、価値のあるオウンドメディアだと判断されます。目的に適したデザインにすることで、それがユーザーの動向に大きく影響してくるのです。
デザインで意識すべきポイント
ここからは、実際にデザインを考える上で意識すべき点を3つご紹介します。
オウンドメディアの目的に即したデザイン
前述したように、企業によってメディアの目的は様々です。
- ユーザーからの認知を獲得したい
- 採用力を強化したい
- 会社のブランディングをしたい
- サービスへのお問い合わせが欲しい
etc…
まずは目的を明確にし、それに適したデザイン設計をすることが重要です。
例えば、商品の販促を目的にするのであれば、商品の購入導線をサイト内に設置したり、商品の紹介をする特設ページを用意するなどの方法があります。その他にも、採用力を強化したいのであれば、企業のイメージカラーを基調にしたデザインにしたり、社員や社内の写真をサイト内に多用することなどが考えられます。
サイトの運営目的を見失わずにデザイン設計を行うことが、オウンドメディアのデザイン制作では重要です。
ブランディングを意識したイメージカラー
企業のブランディングを強化したり、認知の浸透を図る上で、どの色をメインに使用したサイトを作るかは重要な要素です。色はイメージとして記憶に残りやすい特徴があるため、シンプルなデザインやレイアウトでも、ユーザーに印象付けることができます。
例えば、当サイトにおける記事コンテンツのタイトルや見出し、ボタンにおいても、企業イメージと結びつくような色使いを意識しています。
モバイルファーストインデックス（MFI）に対応しているか
オウンドメディアだけに限った話ではありませんが、デザイン制作をする場合には、スマートフォンで閲覧する際のデザインや操作性を重視してWebサイトを作ることが必須となります。
Googleは現在、Webサイトの検索順位決定をする際に、PCサイトではなくスマートフォンサイトを基準に評価を行っています。これはつまり、モバイルデバイスに対応していないサイトは、順位決定時の評価が低下する可能性があるということを示しています。
実際に皆さんが日常で検索エンジンを使う時には、PCよりもスマートフォンからアクセスすることの方が多いのではないでしょうか。快適なユーザー体験を提供するためには、スマートフォンでの視認性や操作性を意識することが最重要となります。
プロ厳選！注目企業の事例11選
ではここからは、業種ごとに参考事例を紹介していきたいと思います。
IT・Web・メディア系
キャリアハック
こちらのサイトは、エン・ジャパン株式会社が運営しているオウンドメディアです。「テック業界で働く人のためのWEBメディア」をテーマに、IT・Web業界で活躍している人たちのインタビューコンテンツ等を発信しています。
記事の内容をイメージしやすい画像が綺麗に並んでいたり、記事の共有数を表示することで人気の記事が分かるようになっていたりと、見やすいデザインが印象的です。
KAI-YOU
株式会社カイユウのオウンドメディア「KAI-YOU」は、ポップカルチャーに関するコンテンツを発信しています。
最新トレンドが次々に更新されていく一方で、カテゴリ分けや検索機能が使いやすくなっているため、ユーザーが読みたい記事が埋もれないような工夫がされています。ポップカルチャーを発信するメディアなので、現代的なイラストや画像が多数掲載されており、全体的にワクワクするようなデザインが魅力です。
美容・ファッション系
watashi＋
株式会社資生堂が運営するオウンドメディアである「watashi＋」。ユーザーに役立つ情報を記事コンテンツとして発信しているだけではなく、サイト内に会員登録機能を付けることで、商品の購入やお店の予約まで、幅広くユーザーのニーズをサポートすることができるサイトです。
最新のトレンドやユーザーのニーズを取り入れた豊富なコンテンツが特徴的で、スマホで自分の顔を撮影すると肌分析が出来る「肌パシャ」や、新商品を画面上で試すことが出来る「バーチャルメイク」など、ユーザーがワクワクするようなコンテンツとデザインでサイトを魅力付けています。
TODAY’S PICK UP
ユニクロが運営しているオウンドメディアです。自社商品のコーディネートや合わせ方だけでなく、体型カバーのコツや気温に合わせたコーデなど、ユーザーのニーズを汲み取ったコンテンツも多数投稿されています。
デザイン自体は非常にシンプルで、コンテンツそのものや掲載されているファッションの写真を引き立てるものになっています。
飲食系
THE BAKE MAGAZINE
チーズタルトで有名なBAKEが運営しているオウンドメディアです。チーズタルトの紹介だけではなく、食品業界で働く人のインタビュー記事が多数掲載されています。ブランドイメージに沿ったシンプルな色味のデザインで、お菓子や人の写真の印象を強めています。
アマノ食堂
アサヒグループ食品株式会社が運営するオウンドメディアです。旬の食材を使ったレシピを紹介するコンテンツを投稿しており、一目見てクリックしたくなるような料理のアイキャッチ画像が特徴的です。
料理の写真が映えるようにシンプルなデザインとほっこりするようなイラストで親近感を抱きやすいサイトとなっています。
医療系
健康美塾
第一三共ヘルスケア株式会社が運営するオウンドメディアで、日常生活で気になる健康知識等を発信しています。漫画を用いた解説や、ポップなフォントを使ったデザインによる、「読みやすく・わかりやすいコンテンツ発信」でユーザーに寄り添ってくれるような印象を与えます。
旅行・暮らし・ライフスタイル系
北欧、暮らしの道具店
株式会社クラシコムが運営している、ECサイトをオウンドメディア化したサイトです。ナチュラルかつ洗練されたデザインで、「北欧の暮らし」という世界観を表現しています。
読み物として記事を紹介しながら、ユーザーの悩みにフォーカスした商品紹介を行うことによって、丁寧に商品購入へとユーザーを導くようなサイト設計が特徴的です。
お風呂ナビ
アース製薬株式会社が運営しているこちらのオウンドメディアは、ユーザーの生活に密接に関わる「お風呂」という生活習慣にフォーカスを当てたサイトです。可愛らしいイラストやアニメーションを用いて、ユーザーにとって印象に残りやすいデザインになっています。
それぞれの記事内には、オリジナルで制作した図も多数用いられており、記事としてのわかりやすさも優れています。
フリースタイルエンターテイメント制作のオウンドメディア
最後に、弊社制作のオウンドメディアについてもご紹介させていただきます。
イノベーション総合研究所 WITH
株式会社チームスピリットのオウンドメディア「イノベーション総合研究所 WITH」。現代の仕事や働き方に関するコラム・インタビュー記事を発信しています。ハッシュタグ機能を付け、興味があるジャンルの記事をまとめて閲覧できるような設計にしています。
未来を感じさせるようなデザイン感を意識しつつ、ストレスなく見やすいレイアウトにすることを心掛けました。
槻木集落 地方創生メディアサイト
こちらは、熊本県球磨郡多良木町にある槻木集落のメディアサイトです。「地域創生を全力で考える」・「日本の美しいを残す委員会」をテーマとしており、槻木集落の人や風景の写真を至るところに掲載しているます。
手書き文字を用いたり、動きのあるコーディング等を用いたりと、細かな部分のデザインやユーザー体験にもこだわったサイトです。
最後に
今回は、オウンドメディアを運営する上での重要な考え方や、参考となるデザイン事例をご紹介しました。新しくサイトを制作する際や、リニューアルする際の参考にしていただけましたら幸いです。
株式会社フリースタイルエンターテイメントでは、オウンドメディア制作や運営、企画コンテンツ立案など様々なサポートをしております。オウンドメディアに関するお悩みやご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。