Xは短文でのコミュニケーションをメインとした、リアルタイム性や拡散性の高さが大きな魅力のSNSです。幅広い年齢層に親しまれており、個人から企業、行政まで多くのアカウントが情報発信の手段として活用しています。
Xで商材やサービスの認知を拡大させるためには日々の地道な運用が必要不可欠ですが、中には短期的に成果を挙げることが求められるケースもあるでしょう。そういった場合におすすめの選択肢として、X広告を配信することが挙げられます。
本記事では、X広告の種類や特徴、費用の仕組みなどを詳しく解説していきます。
X広告の特徴とは
X広告の特徴として、以下の3点が挙げられます。
- 幅広い年齢層にアプローチできる
- ターゲティングの精度が高い
- 二次拡散による効果が期待できる
幅広い年齢層にアプローチできる
Xに対して若者向けのSNSというイメージを持っている方も多いでしょう。確かにXは10~20代の若年層を中心に利用されていますが、30代以上のユーザーも多く、幅広い年齢層に親しまれています。
企業にとっては、若者をターゲットとする商材をアピールしたい時だけでなく、自社の製品やサービスを広く知ってもらいたいシーンでも有効的に活用できる媒体だと言えます。
匿名性の高さや短文だけで投稿できる気軽さもXの大きな特徴です。一般ユーザーの率直な声が集まりやすく、自社の製品やサービスに対するユーザーの反応を確かめるのに適しています。
ターゲティングの精度が高い
匿名性の高いXでは、発信する内容や閲覧するコンテンツにユーザー自身の趣味や嗜好が強く反映されやすい傾向にあります。過去の行動からユーザーの興味、関心を推測し、精度の高いターゲティングを行えるのもX広告の強みの1つです。
自社の製品やサービスに興味を持ってくれそうな潜在顧客に対して、ピンポイントでアプローチすることができます。
X広告のターゲティングについては、記事の後半でさらに詳しく解説しています。
二次拡散による効果が期待できる
X広告の最大の特徴として、出稿する広告そのものの拡散効果に加え、二次拡散による効果が見込めるという点が挙げられます。
二次拡散とは、広告が表示されたユーザーが起こすリポストやリプライなどのアクションによって広告が再び拡散されることです。二次拡散が進むと広告が次々と多くのユーザーに届き、より高い宣伝効果が期待できます。
X広告の課金対象は、企業が出稿した広告そのものに対するアクションのみ。二次拡散以降のアクションに対する追加費用は発生しません。二次拡散がされればされるほど費用対効果が高まり、効率良く自社の商材の認知を拡大することが可能です。
X広告の種類
X広告には以下のような種類があります。
- プロモ広告
- Amplify
- テイクオーバー
- ライブ
- ダイナミック商品広告
- コレクション広告
それぞれ詳しく解説していきます。
※フォロワー獲得広告(プロモアカウント)は2023年8月に提供が終了されています。
プロモ広告
プロモ広告は主にタイムラインに表示されます。通常のポストと同様にリプライやリポスト、いいねなどのアクションをすることができ、高い拡散効果が見込めるのが大きなメリットです。
プロモ広告には、スマートフォンでは右上に「広告」というラベルが、パソコンでは左下に「プロモーション」というラベルが付きます。
しかし、画像や動画を添付することができ、見た目は通常のポストとほぼ変わりません。ユーザーに嫌悪感を与えづらく、自然な形で広告を配信することができます。
その反面、他の投稿に紛れてユーザーの目に留まりづらくなる可能性がある点に留意しなければなりません。インパクトのある画像や動画、キャッチ―なテキストでユーザーの興味を引くことが重要だと言えます。
Amplify
Amplifyとは、Xとスポンサーシップを結ぶコンテンツパートナーによる動画コンテンツが再生される前に、プレロール動画として配信される広告を指します。
自社のブランドとの関連性が高いパートナーが発信する動画コンテンツの前に出稿でき、ターゲットの関心を集めやすい点がメリットです。
引用元:https://business.x.com/ja/help/campaign-setup/creative-ad-specifications
テイクオーバー(旧プロモトレンド)
テイクオーバーは、おすすめタブやトレンドタブを閲覧できる「話題を検索」やタイムラインの最も目立つ位置に1日1社、24時間限定で広告を配信できるサービスを指します。具体的には、以下の箇所にテキストや画像、動画を表示させることが可能です。
配信面 | フォーマット | |
---|---|---|
トレンドテイクオーバープラス | 「話題を検索」最上部 | 動画 |
トレンドテイクオーバー | 「話題を検索」最上部 | ・ハッシュタグ ・テキスト |
タイムラインテイクオーバー | ユーザーがその日初めてXにアクセスした際にタイムラインに表示される最初の広告枠 | ・テキスト ・画像 ・クリエイティブ |
Xが公式に提供するヘルプセンターには、テイクオーバーについて「”広告の一等地”を独占できる」と記載されており、絶大な影響力が期待できます。
ただ、非常に大きな訴求力が期待できる分、膨大な費用が発生する点には留意しなければなりません。トレンドテイクオーバーは約1,200万円~、トレンドテイクオーバープラスでは約2,000万円~が費用の目安とされています。
ライブ
ライブ配信形式の広告です。臨場感を提供できる他、コメントを投稿したりリポストしたりと、視聴者がリアルタイムで参加できるのも特徴だと言えます。
ライブ配信中に視聴者からのコメントに回答することで、ユーザーと双方向でコミュニケーションを取ることが可能。これは他のフォーマットには無い強みであり、親近感を持ってもらいやすい点は大きな魅力です。
引用元:https://business.x.com/ja/help/campaign-setup/creative-ad-specifications
ダイナミック商品広告(DPA)
ダイナミック商品広告(DPA)は、ユーザーとの関連性の高い商品をカルーセル形式で表示するフォーマットです。過去の行動データに基づいた以下2種類のターゲティングを活用し、自社の商材に興味を持ってくれそうなユーザーに情報を届けることができます。
リターゲティング | 「カートに追加」などのアクションを起こした経験がありながら 購入に至っていないユーザーに広告を配信する |
---|---|
見込み顧客ターゲティング | ウェブサイトを訪れたことがないユーザーに対して関連性の高い 商品の情報を提示する |
潜在顧客へのアプローチに長けており、コンバージョン率の向上や高い費用対効果が期待できます。
引用元:https://x.com/mochi_20181106
コレクション広告
コレクション広告では、メインの画像(ヒーロー画像)と最大5つのサムネイル画像をまとめて表示することができます。カルーセル広告のようにスワイプしなくても、全ての画像を1つの画面で確認できる点が大きな特徴です。
ランディングページは画像ごとに個別で設定できるのも魅力。多くの商品やサービスを一度に紹介したい場合におすすめのフォーマットです。
引用元:https://x.com/Super_Groupies
X広告で配信可能な仕様
- 画像広告
- 動画広告
- カルーセル広告
- テキスト広告
X広告で配信できる仕様としては、上記が挙げられます。端的にメッセージを発信できるテキスト広告から、複数のクリエイティブを活用できるカルーセル広告まで様々です。
なお、上記の仕様には、宣伝効果をより高めてくれるカスタム機能およびブランド機能を適用することができます。具体的には、以下のような機能を活用することが可能です。
- カンバセーションボタン:ユーザーが選択して投稿できるメッセージやハッシュタグを設定する
- 投票:広告内で参加できる投票を追加する
- ブランド絵文字:オリジナルの絵文字をハッシュタグに組み込む
- ブランド通知:通知を許可したユーザーに特定のタイミングでメッセージを送る
企業が出稿する広告に多く見られるのは、プロモ広告にカンバセーションボタンや投票を組み込むパターンです。広告の画面を占める割合が大きくなって視覚的なインパクトを強められるだけでなく、エンゲージメントが集まりやすくなります。
X広告の目的
X広告では達成したい目的を以下の中から選択することが可能であり、選択した目的に応じて予算配分や配信戦略を最適化してくれます。
目的 | 内容 |
---|---|
リーチ | 広告を見る利用者数を最大化する |
動画の再生数 | 利用者に動画の視聴を促す |
プレロール再生数 | 利用者にプレロール動画の視聴を促す |
アプリのインストール数 | 利用者にアプリのインストールを促す |
ウェブサイト訪問数 | サイトへの訪問数を増やす |
エンゲージメント数 | 利用者にポストへの反応(クリックやリポストなど)を促す |
アプリのリエンゲージメント数 | アプリの起動や更新、アプリ内での特定の行動を促す |
ウェブサイトコンバージョン数 | サイト上でのコンバージョンの発生を促す |
広告の配信を通して得たい成果に応じて目的を選択することで、より効率良く広告を配信することが可能です。
X広告のターゲティング
X広告で利用できるターゲティングは、大きく以下の3種類に分けられます。
- オーディエンスの特性
- オーディエンスタイプ
- 既存のオーディエンス
オーディエンスの特性
ユーザーの属性に基づいて、以下のようにターゲットを絞り込みます。
- 地域ターゲティング
- 言語ターゲティング
- 端末・プラットフォーム・Wi-Fiターゲティング
- 年齢ターゲティング
- 性別ターゲティング
こうした情報は、ユーザーがアカウントに登録している情報や最近の位置情報、IPアドレスなどから取得されています。
オーディエンスタイプ
オーディエンスタイプでは、ユーザーの興味、関心や過去の行動データを元に、特定のテーマやトピックに関してターゲットを絞り込むことが可能です。
- 会話ターゲティング
- イベントターゲティング
- エンゲ―ジャーターゲティング
- キーワードターゲティング
- 映画とテレビ番組のターゲティング
- 興味関心ターゲティング
- フォロワーが似ているアカウントのターゲティング
過去の行動データを元にユーザーを絞り込めるのは、X広告の大きな強みだと言えるでしょう。
会話ターゲティングでは今まで積極的に参加したX内での会話に応じて、エンゲ―ジャーターゲティングでは既存のコンテンツへの反応歴に応じて広告を出稿できます。
既存のオーディエンス
これまで出稿した広告に興味を示してくれたユーザーに対して、以下2種類のターゲティングで広告を配信します。
- フォロワーターゲティング
- カスタムオーディエンス
フォロワーに広告を出稿するフォロワーターゲティングの他に、顧客リストやユーザーデータをアップロードして独自のセグメントを作れるカスタムオーディエンスも利用可能です。
X広告で成果を得るポイント
X広告で成果を伸ばしていくためには、以下3つのポイントを意識すると良いでしょう。
- ターゲットを絞りすぎない
- テキスト・クリエイティブで興味を集める
- 複数の広告フォーマットを活用する
ターゲットを絞りすぎない
Xに限らず、Web広告では自社の商材を利用してくれそうなターゲットユーザーの属性や日々の行動を想定し、適切なターゲティングを設定することが重要です。
ただし、配信を開始する当初からターゲティングを絞り込みすぎるのはおすすめできません。
運用型広告では過去の配信データを踏まえて今後の配信戦略や予算配分を最適化させる「機械学習」が適用されます。ターゲティングを細かく設定しすぎると広告の配信量が小さくなり、機械学習が進みづらくなってしまいます。
テキスト・クリエイティブで興味を集める
昨今、XのようなSNSの利用者は、流れてきたコンテンツが自分にとって興味が持てるものか否かをコンマ数秒で判断すると言われています。
無数のポストが溢れているタイムラインに配信した広告を目に留めてもらうためには、インパクトのあるテキストやクリエイティブが必須です。
複数の広告フォーマットを活用する
X広告のパフォーマンスはテキストやクリエイティブの質だけでなく、利用する広告フォーマットによっても大きく変わってきます。
複数の広告フォーマットを組み合わせることで、より幅広い層にアプローチすることが可能です。加えて、ユーザーに刺さりやすいクリエイティブやテキストを見極められるため、より効率良く成果に繋げられる可能性が高まるでしょう。
Xのヘルプセンターにも、「広告フォーマットを3種類以上使用すると広告キャンペーンの認知度が20%、購買意欲が7%向上する」と記載されています。
X広告を運用する際の注意点
X広告を運用する際には、注意点として以下の2つを頭に入れておくべきです。
- 炎上リスクに配慮しなければならない
- 頻繁な仕様変更への対応が必要である
炎上リスクに配慮しなければならない
Xを運用したり広告を配信したりする際には、手軽に情報を発信できるがゆえのリスクを必ず頭に入れておいてください。リアルタイムで多くのユーザーに情報が拡散されるため、ポストや広告の内容によっては炎上してしまう危険性もあります。
不適切な内容や誤解を招く表現を取り入れないよう、クリエイティブやテキストの内容を検討する際には細心の注意を払うことが求められます。
- 災害・差別
- 思想・宗教
- スパム・スポーツ・スキャンダル
- 政治・セクシャル
- 操作ミス
必ず複数人でチェックする、上記の炎上さしすせそを心得るなど、入念に対策しておくべきでしょう。
頻繁な仕様変更への対応が必要である
どのSNSにおいても、突然新機能が実装されたり仕様変更が行われたりすることは決して珍しくありません。しかし、Xでは昨年から大幅な仕様変更が相次いでおり、大きな話題を集めています。
以下に例を3つ挙げましたが、どれも日々の運用や広告の出稿に大きな影響を与えるものばかりです。
- Xプレミアムに加入しないとアナリティクス(分析ツール)を閲覧できなくなった(2024年6月)
- Google広告・Display&Video360からタイムライン上への広告配信が可能になった(2024年5月)
- 認証バッジが付与されたユーザーしかX広告を配信できなくなった(2023年4月)
こうした仕様変更がユーザーに通知されることはないため、常に最新の情報を追いかけ、インターネット上に溢れる多数の情報を精査することが欠かせません。
X広告で拡散を狙おう
拡散性の高さを最大の強みとするX広告をうまく活用できれば、商材やサービスの大幅な認知拡大が期待できるでしょう。
今回お伝えした各種フォーマットや仕様の特徴を踏まえ、達成したい目的に合わせた最適な配信戦略を策定した上で、費用対効果の高い広告を配信してみてください。
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