ビジネスシーンにおいて欠かせないPowerPointでの資料作成ですが、苦手だと感じている方も少なくないようです。せっかく時間をかけて資料を作ったのに「ださい」と指摘されてしまった、といった経験のある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、パワポ資料が「ださい」と見られてしまう原因と、見やすくて伝わる資料を作るためのポイントをわかりやすくご紹介します。資料作成でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

パワポの資料作りが苦手なビジネスパーソンは多い

  • 提案書
  • IR資料
  • 会社説明会
  • セミナー など

現代のビジネスにおいて、PowerPointを使った資料は上記のような様々な場面で活用されています。いまやビジネスパーソンにとって、パワポでの資料作成は欠かせないスキルと言えるでしょう。

しかし、その一方で「資料作りが苦手」と感じている方も少なくありません。SENA株式会社が2023年に実施した調査によると、「プレゼン資料の作成が苦手」と回答した人は39.5%にのぼり、「得意」と回答した人(31.5%)を上回る結果となっています。

参考:「プレゼン資料の作成」が苦手な人の割合は全体の39.5%

パワポでの資料作りは、多くのビジネスパーソンにとって共通の悩みとなっていることがわかります。

パワポ資料が”ださい”人がやりがちなこと

せっかく時間をかけて作ったパワポ資料が「ださい」と言われてしまうという方がやりがちなこととして、以下の8点が挙げられます。

色やフォントを多用する

情報を色でカテゴライズしたり、重要な部分を色で強調したりしているうちに、資料全体がカラフルになりすぎてしまうケースは少なくありません。

「わかりやすく伝えたい」という思いで、つい多くの色を使ってしまいがちですが、かえってごちゃついた印象を与え、どの情報が重要なのかが分かりにくくなってしまいます。

色の使用は最小限に抑えることで、資料全体に統一感が生まれます。目安としては、以下の比率で3色以内に絞るのが良いでしょう。

  • ベースカラー:70%
  • メインカラー:25%
  • アクセントカラー:5%

フォントを使い分けすぎるのも、統一感が損なわれ資料全体の印象がぼやけてしまうため避けてください。フォントは1〜2種類に絞り、文字サイズも「タイトル」「見出し」「本文」「強調箇所」といった役割ごとに明確にルール化するのがおすすめです。

影や立体を多用する

PowerPointには、文字や図形、グラフ、表などに装飾を加えるための機能が豊富に用意されています。資料の見栄えを良くしたり、わかりやすくしようとするあまり、影や立体などのエフェクトを多用してしまう方も少なくありません。

しかし、色やフォントの使いすぎと同様に、過剰な装飾は資料全体を“ださい”印象にしてしまう原因になります

影や立体効果を使いこなすのは、プロのデザイナーにとってもかなり難易度が高いです。慣れていない方がむやみに取り入れると、かえって不自然でちぐはぐな印象を与えてしまうでしょう。

見せ方に迷ったときは、装飾を加えるよりも「よりシンプルに」「よりわかりやすく」を意識した表現を心がけましょう。

レイアウトに凝る

パワポ資料をはじめとしたビジネス文書は基本的に横書きで作成され、人の視線が左上から右下へ自然に流れるという特性を踏まえた上記のようなレイアウトが採用されます。

しかし、あえて目を引こうと一風変わった構成にした結果、かえってださい印象を与えてしまうケースも少なくありません。配置が複雑になるほど視線の流れが妨げられ、肝心の情報が伝わりづらくなってしまいます

シンプルな構成こそが伝えたい情報を際立たせ、見る人に安心感や信頼感を与えるポイントです。 

情報を詰め込んで余白を埋める

隙間を埋めようと余白をなくしてしまうのは、パワポ資料が“ださい”印象になりがちなパターンの1つです。文字や図形の周囲に余白がないと資料全体が窮屈に見え、読み手に圧迫感を与えてしまいます

要素同士の間隔や行間、テキストボックス内などに適度な余白を設ける方が、内容が整理されて読みやすいです。情報のまとまりが視覚的に伝わりやすくなり、ストレスなく理解できるでしょう。

表やグラフ・図形の装飾に力を入れる

表やグラフ、図形は、情報を視覚的・直感的に伝える上で非常に有効な手段です。ただし、その効果を最大限に活かすためには、何が重要なのかが一目で伝わるよう色使いやレイアウトを調整することが欠かせません。

色や装飾を多用しすぎると重要な情報が埋もれてしまい、伝えたいポイントがぼやけてしまいます

  • グラフは強調したい部分のみに色をつけ、その他はシンプルな色味で統一する
  • 表では背景色や罫線を最小限に抑える

上記のような引き算のデザインが、情報の伝達力を高めるカギとなります。

枠や線を多用する

情報のまとまりを明確にしようと、つい枠線や背景のべた塗り、矢印などを多用してしまうことがあります。しかし、こうした要素が多すぎると資料全体がくどく見え、視認性を損なう原因になります。

情報を区切るための装飾は、必要最低限にとどめるのが基本です。

枠や線は「なくても情報が伝わるかどうか」を基準に見直し、使う場合も線を細くする、背景色を薄くするなど、主張しすぎない工夫を心がけましょう。シンプルに整理された資料ほど、伝えたい内容が際立ちます。

文字色と背景色のコントラストを弱める

凝ったデザインを目指して様々な色を使っていると特に、文字色と背景色の差が小さくなり、読みづらくなってしまうケースがあります。こうした色使いは視認性を下げ、資料の質を下げてしまう原因になります。

基本的には、明るい背景には暗い文字色、暗い背景には明るい文字色を使い、十分なコントラストを確保することが大切です。

コントラストが適切かどうか自信が持てない場合は、資料を白黒で印刷してみるのがおすすめ。例えば、赤い文字に緑の背景を使った場合、白黒印刷ではどちらも濃いグレーになってしまい文字が読みにくくなるため、避けるべき配色だとわかります。

毎回デザインをゼロから作る

スライドのデザインを毎回ゼロから考えるのは、非常に効率が悪いです。配色やレイアウト、図表のスタイルなどを都度決めるのはかなり大変なだけでなく、結果として統一感のない資料になってしまうこともあります。

見やすく伝わる資料を効率良く作成するためには、社内の過去資料をベースにしたり、既存のデザインを参考にしたりすることが有効です。

インターネット上には、見やすく整理されたパワポ資料のサンプルが豊富に掲載されています。例えば、年間のスケジュールを図で表現したい時は、「スケジュール パワポ わかりやすい」といったキーワードで検索すればすぐに参考資料が見つかるでしょう。

「ださい」から脱却!見やすいパワポ資料作成のポイント5選

ここからは、「ださい」資料から脱却するために押さえておきたいポイントをお伝えしていきます。

  • フォントは1つ、色は3色に抑える
  • 枠や線・矢印をむやみに使わない
  • 余白を多めに確保する
  • 1スライド1メッセージを意識する
  • 図形や文章の配置を揃える

前章でも触れたように、フォントや色、枠・線・矢印などの装飾は、できるだけ最小限に抑えることが基本です。無くても情報が伝わる装飾は“引く”という意識が、洗練された資料作成の第一歩となります。

また、1スライドに情報を詰め込みすぎないように注意しましょう。余白を十分に確保するためには、「1スライドにつき1メッセージ」を徹底することが大切です。

「このスライドで伝えたいことを一言で表現できるか」を都度確認しながら、スライドを分ける判断をしていきましょう。

さらに、図形やテキスト、画像などの配置は徹底して揃えてください。要素の大きさや位置がバラバラだと、雑に作られた印象を与えてしまいます。

スライド単位だけでなく、資料全体を通して統一されたルールを設けることで、より見やすく、信頼感のあるデザインに仕上がります。

見やすい資料作りのポイントを押さえよう

時間をかけて丁寧に作成したパワーポイント資料が「ださい」と言われてしまう原因の多くは、情報や装飾の“足しすぎ”にあります。良かれと思って追加した色やフォント、枠線などが、かえって視認性や統一感を損ねているかもしれません。

今回ご紹介したポイントを踏まえて「引き算のデザイン」を意識することで、資料の印象は大きく変わります。判断に迷った際は、「この要素がなくても伝わるか?」を基準に、装飾や情報を取捨選択してみてください。より洗練された”伝わる”資料に近づけるはずです。